「交易から文明が生まれる。動物は棲息する生態環境の拘束から逃れることはできないが、ヒトだけが異なる生態環境からモノを移転して生態環境を自らの好むように改変したのである。交易を管理するために統一的な暦が編まれ、文字が発達し、交易の場所から都市が生まれた。異なる文化に交易ルールを強制し、違反者を取り締まるために権力が生まれ、その権力を正当化するために特定の宗教やイデオロギーが発達した。 そして交易の方法は、略奪・互酬・貢納・徴収・市場と進化した。本書は、この壮大な上田史観をタカラガイを切り口にして、BC5千年を超えるアッシリアから現代までの悠久の時間と、大興安嶺のふもとから西アフリカに至る広大な空間を舞台に縦横に論じたものである。 第一部は史料の渉猟による「時をたどる旅」