神の目の小さな塵

ラリイ・ニーヴン / ジェリイ・パーネル(池央耿 訳)
Amazonで見る(詳細)

この本を推薦している人 (1人)

岡田 斗司夫

「9月に新版が出る、1760円。ファーストコンタクトの傑作と呼ばれてるニーヴン&パーネル『神の目の小さな塵』。地球人と異星人が初めて出会う『ファースト・コンタクトもの』というジャンルで、最初期の作品はマレイ・ラインスター『最初の接触』(1945年)、続いてフレッド・ホイル『暗黒星雲』(1957年)、そしてスタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(1961年)が究極のファーストコンタクトを書いてしまった——惑星全体を覆う海が知性を持つ話で、お互いに理解できないことに意味があるのか?まで踏み込んだので、以降ハードSFはファーストコンタクトを書きにくくなった。 日本のアニメは結構ちゃんとファーストコンタクト扱ってる。1980年『伝説巨神イデオン』では地球人とバッフ・クラン星人が遭遇——地球人がバッフ・クランを『第七文明人』と呼ぶ、それまでの6つの文明はイデの世界の中で全部滅びた文明。1982年『超時空要塞マクロス』も、巨大宇宙船が地球に墜落した10年後、ゼントラディ軍と最悪のファーストコンタクトになる。日本のSFアニメ・漫画はものすごい高度なSFをやってるのに海外で知られてないの悔しい。 物語は西暦3017年——人類は銀河の隅まで支配の手を伸ばし、統一と戦闘を繰り返していた。帝国宇宙海軍の巡洋艦マッカーサーが、24歳の主人公ロデリック・ブレイン中佐の指揮下にある。コールサック暗黒星雲の向こうから、光速の7%でやってくる船を発見——アルダースン航法を使わない通常空間からの宇宙船は人類が想定しない、おそらく人類以外とのファーストコンタクト。 この宇宙人『モート人』は左右非対称(右腕2本・左腕1本)で首がない、首がないので振り返る時は腰全体が回る。技術的には進んでるのか遅れてるのか分からない——機械にネジがなく全部一体化してる、宇宙船の構造材を取り替える代わりに『不便を感じるとその場で設計し直して目的通りの機械をその場に作ってしまう。それは知性ではなくて本能』なんですね。エンジニア階級のモート人女性『彼女』は自由意思をほとんど持ち合わせていない——では他にいくつの階級があって誰が物事を決めてるのか?というのが本書の謎。 上下巻ミステリーの構造で、最初の年表(1969年から3007年までの1050年分)が最大のヒント。本作の基本である『アルダースン航法』に並ぶ最大の謎は、宇宙船を覆うバリア(金色に光る)の正体——これがすべての鍵。」

– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』神の目の小さな塵 解説(00:00〜)