「僕たちは、叙事詩をすっかり忘れてしまったのではないか。ギルガメシュ、イーリアス、シャー・ナーメなどに満ち溢れていたあの懐かしい英雄たちの雄叫びは消えて久しくなってしまった。ポーランド生まれのユダヤ人で、第二次世界大戦前のドイツで活躍した作家、デーブリーンは、本書、マナスで、叙事詩を見事に現代に甦らせた。端倪すべからざる力技である。 第一部、亡者が原。インド・ウダイプルの王子マナスは敵を打ち破り都に凱旋するが、戦場での恐るべき死の光景がマナスを苛む。「ウウィイー、ウウィイー 死者たちのところへ行きたい この世を去って かれらのところへ行きたい」