「誰も思いつかなかった戦国時代の人物を書いた漫画、表現もの。表現ものは古田織部こと古田重然のあだ名でもある。単行本にも特徴があって、すべて『侘び寂び』という概念で千利休がほとんど一人で作り上げた、後に古田織部はそれのバリエーションを増やしていった——その侘び寂びという概念でこの本作られている。本のここにあるシール、これって印刷じゃなくてシールなんですよ、1巻から25巻まで全部単行本にシール貼ってる。コレクター向け。次にめくってびっくりするんですけど、漫画がいきなり始まるんですよ。途中で千利休が出てきて『無駄だ無駄無駄』って叫ぶんですけど、道の喉無駄を省いて言ったらじゃあこの漫画の単行本にある最初の白い紙って何よ、と表紙と同じ絵がモノクロで書かれてあれなにを、いらねーだろ、って言ってこの折り返しのところにも下じゃとか入れてる。一切の無駄をなくしたところに侘び寂びがあるという漫画の中のテーマと、この単行本そのものが本当にぴったりシンクロしてめちゃくちゃ気持ちいい。 本能寺の変は千利休が仕組んだ——千利休にとって信長の派手好みとか華やかな世界というのは邪魔なんですね。安土城を訪れる古田左介、安土城は千利休の意向もらった黒漆塗りなのに、信長がデコって金の竜、5重塔まで天守閣に乗せちゃう。千利休は『黒こそが至高』と明智光秀に言うんです——『黒は喪に服す色、死を司る色、東西どこでも黒がカッコイイとは聞いたことがない、なぜわざわざ黒を作るかと言えば、無駄を省いて省いて尽くした最後はこの色のごとくなる、これこそ私の理想とする色』と。これに納得した光秀が信長を討つ計画につながる。 明智光秀の辞世の句:実際の歴史でも愛妻家だった光秀が農民に討たれて死ぬ時、奥さんを思って『月さびよ明智が妻の話せむ』を読む——これは本来江戸時代の松尾芭蕉の句で、まだ俳句が存在していない時代。当時の辞世の句は5・7・5・7・7でなければならないが光秀は『下の句など蛇足だ』と言って死ぬ——それを聞いた千利休が『私はとんでもない人を謀略で殺してしまった』と大後悔する。」
– 出典: YouTube『岡田斗司夫ゼミ』へうげもの 1 解説(00:00〜)