アーモンド
感情を感じられない少年の成長物語。本屋大賞2020翻訳小説部門1位。RMはIN THE SOOPで紹介。
「Almond by Son Won-pyung.」
ヘミングウェイ・カフカ・サリンジャーら海外文学の傑作を、有名人が推薦した137冊。本人発言の出典リンク付き。
感情を感じられない少年の成長物語。本屋大賞2020翻訳小説部門1位。RMはIN THE SOOPで紹介。
「Almond by Son Won-pyung.」
1980年光州事件を題材にした韓江の代表作。ノーベル文学賞作家による重い問いの一冊。
「韓江『少年が来る』。胸が重くなる読書だった。(原文: Human Acts by Han Kang. A heavy-hearted read.)」
「I asked my friend: 'Hey, I want to read! Do you have any books to recommend?' And they got so excited and recommended Han Kang's and Keigo Higashino's books. So that's literally all I read.(友達に「読書したいから本を勧めて」
L.M.モンゴメリによる1908年発表の児童文学。
ロシア文学の最高傑作。IUがJTBC『ヒョリの民泊』(2017)で愛読し、「これまで読んだ中で最高の本」と語った。
「これまで読んだ中で最高の本。」
「」
ジョン・アーヴィングによる1981年発表の長編家族小説。
しゃっくりが止まらないガイコツの愉快な物語。子どもの読み聞かせ定番絵本。
「しっくり骸骨、私骸骨大好きなの。これいいですか?ちょっと気になるましょう、ましょう。一旦これで(カゴに入れる)。」
「If you want something a little more intellectual, it's probably the Bulgakov novel The Master and Margarita.(もう少し知的なものが欲しければ、ブルガーコフの小説『巨匠とマルガリータ』だろう。)」
「ウルフの三部構成は『意識の流れ』だけでなく、内的会話・荒廃した家・灯台への旅というシンプルな骨格が記憶に残る形で精緻に構成されている。」
早川書房の年間ミステリ書評企画「ヒデミス!」2024年版で小島秀夫が選出した12作のうちの1冊。
「今年も「ヒデミス!」
早川書房の年間ミステリ書評企画「ヒデミス!」2024年版で小島秀夫が選出した12作のうちの1冊。
「今年も「ヒデミス!」
早川書房の年間ミステリ書評企画「ヒデミス!」2024年版で小島秀夫が選出した12作のうちの1冊。
「今年も「ヒデミス!」
早川書房の年間ミステリ書評企画「ヒデミス!」2024年版で小島秀夫が選出した12作のうちの1冊。
「今年も「ヒデミス!」
早川書房の年間ミステリ書評企画「ヒデミス!」2024年版で小島秀夫が選出した12作のうちの1冊。
「今年も「ヒデミス!」
地下プールに集う水泳愛好家たちの群像と、認知症が進む母の物語が交錯する。全米批評家協会賞受賞作。
「これ読みたいと思ってたんだ、『スイマーズ』。なんかいいよって友達が言っていて、どういう本かは全然よく分かってないんですけど、とにかく良かったって。プールを愛する人々、泳ぐことを愛する母が認知症になった、っていう話みたいですね。」
戦後フランスの貧しい村で育った少女アニェスとファビエンヌの「物語をつくる遊び」を描く長編。2023年 PEN/フォークナー賞受賞。
「これ気になります、すごい気になっていた本でした。北京生まれの方でアメリカにいらっしゃるのかな、英語で書かれた本かしら。この絵がいいね。小説を書く人の話みたい、面白そう。」
日英対訳で『星の王子さま』を読む語学学習向けの新版。
「英語の本があって、ニュアンスが日本のと違っていて衝撃を受ける、それで(日本語版と並べて)読みたいなって。」
ブッカー賞作家ソーンダーズの傑作短編集。「価値の小さな人々の愛情、優しさ、尊厳」を独特の想像力で描く。
「」
1928年、米国イリノイの夏。少年ダグラスが祖父の家で過ごすひと夏の魔法を綴った、ブラッドベリの自伝的傑作。
「ああ私の大好きなたんぽぽのお酒が、これ大好きなんですよ。レイ・ブラッドベリ、家にあるんですけどね。私SF音痴でなんかSFがあんまりちゃんと読めないんですけど、読めない中でもレイ・ブラッドベリだけはすごい面白く読めるっていう。火星年代記とかなんかザSFのタイトルが印象的なんすけど、たんぽぽのお酒もでも面白いって話は聞いて。すごくねノスタルジックな。」
マイノリティとマジョリティの理解と共存をめぐる、キム・チョヨプの最新短編集。
「こっち(『この世界からは出ていくけれど』)が多分最新かな。これはもう、例えば4本目の手がどうしてもあるように感じてしまう女の子とか、その土地では息が吸えない子供とか、なんかそこには馴染めないというかちょっとずれたところにいるような人が、そこにはいられないけれど、でもあなたのことは大好きだったし、あなたの幸せを願っているよっていう祈りみたいな瞬間がすごい描かれていて、なんか読むたびに泣きそうになる。」
ロンドンのスクオッターたちの実話を元にした、ブレイディみかこの長編小説。
「『リスペクト』も良かった。」
「片っ端から読みまくった」
オーウェルの寓話小説の決定版。吉田健一による定番訳に、ヒグチユウコの装画と挿絵を全編にあしらった単行本。
「こんな尖った見た目でしたっけ?やばい本みたいな感じで素敵すぎない?多分中学生か高校生ぐらいの時に読んだけど、これは物として欲しいな。だってすごくないですか、おしゃれすぎません?」
現代英国を舞台に、貧困のなかを生きる14歳のミアと、日本のアナーキスト金子文子の自伝が出会う長編。
「『両手にトカレフ』も良かった。」
英国のアーティスト、チャーリー・マッケジーが描くベストセラー絵本。ぼく、モグラ、キツネ、馬の4人が一緒に旅をしながら、生き方や愛や勇気について語り合う。世界で100万部超え。日本語版翻訳は川村元気の初めての翻訳作品。
「ぼく、モグラ、キツネ、馬、大好き、知ってます。めちゃくちゃ好き。泣いちゃいます。これは泣いちゃう本です、絵本の。なんかね結構哲学的な。これはめっちゃ私、結構いろんな人にプレゼントをしてます。本をプレゼントするとすごいいいですよね、絵本とかは送りやすいんですよね。」
脳が地面に転がる独裁者フィルが国民6人の小国を煽動する奇想天外なディストピア寓話。ブッカー賞作家。
「」
『火星の人』アンディ・ウィアー長編3作目。記憶を失った主人公が宇宙船で目覚め、人類の存亡を賭けたミッションに挑むエンタメ大作。ライアン・ゴズリング主演で映画化決定。
「アンディ・ウィアーというSF作家の長編3作目。もともとアンディ・ウィアーはプログラマー、趣味でSF小説をずっと書いてた——37歳の時に自分のブログで発表してた、本当に同人作家だった。ブログで『火星の人』を連載してたのが人気が出て、2年経った時点でKindleで自費出版したらベストセラーになって、マット・デイモン主演で『オデッセイ』として映画化された。プロジェクト・ヘイル・メアリーは去年出版された再再再作。来年か再来年あたりライアン・ゴズリング主演で映画化も決まってる。ものすごい面白い。 主人公が記憶を無くして目が覚める。真っ暗なベッドみたいなところに閉じ込められて、ここはどこかも分からない、記憶をなくしているから全く何も分からない状態。重力が違うぞということで地球ではないことが分かる。記憶がないと言っても全部ないわけではなくて、一般常識とかなぜか自分は科学に強いということは自分で分かる。」
イギリスの中学に通う息子が直面する人種・階級・ジェンダーの問題を描いた大ヒットノンフィクション。
「ブレイディみかこさん大好きなんですけど、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、あれはエッセイなのかな、息子さんのお話を書いたのがすごい面白くて。」
韓国SF文学賞受賞のキム・チョヨプによるSF短編集。日本で最初に翻訳された一冊。
「キム・チョヨプ大好きで、文章がすごく私的で、言葉がすごく綺麗でキラキラしているんですけど、ちょっと物々しいんですよね。あなたと私は本当に分かり合うことはできないけれど、でも一緒にいて楽しかったことは嘘じゃないし、っていうこのすごく分かり合えるわけもない他者同士がでも一緒にいることのたまにある掛け替えのない瞬間みたいなものをすごく丁寧に丁寧に描いてらっしゃって、これが多分1個目、日本で最初に出たやつ。」
アル中・薬物依存・離婚を経験した著者の自伝的短編集。2020年本屋大賞〔翻訳小説部門〕第2位。
「」
中国の劉慈欣によるSF三部作の第1作。文化大革命を出発点に、地球外文明とのファースト・コンタクトを描く壮大なハードSF。Netflix で実写ドラマ化(2024)、世界40言語以上で翻訳された世界的ベストセラー。小島秀夫が日本版の帯文を執筆。
「3体もありますよ。Netflixかなんかでドラマやってますけど、3体もありますんで。僕も帯書いてたんですけど、早川さんは僕の帯で売れたら次もっと有名な人をどんどん帰ってく、今は影も形もありません。」
ヒューゴー賞・ローカス賞・ネビュラ賞ほか10冠制覇のマーサ・ウェルズによる中編連作シリーズ第1巻。中二病で対人恐怖症の警備ロボット「弊機」が主人公。
「マーサ・ウェルズという女性作家。主人公は一人称小説で、主人公は自分のことを『弊機』って言う。『弊社』のことを言うのと同じで——主人公がロボットだから。1部生体部品を使っているけれども、基本的にロボット。自己卑下語がすごい強くて『私なんて本当にくだらなくて薄汚れててプログラムもダメで本当にいつ破壊されてもおかしくないだめなロボットだ』と自分のことを言いながら、プライドだけはめちゃめちゃ高い。中二病のロボットが主人公という、見たこともないような、ラノベじゃなくて本格SFを海外作家が書いた手柄。 弊機は対人恐怖症で人間が恐怖。人に見られるのが苦手、仲間になろうと言うとものすごい腹が立って、一人きりで部屋にこもって自分で電源を落とす。なのにそんなに人間嫌いなのに人間が出てるドラマは大好きで、仕事中に脳内にダウンロードした昼メロみたいなドラマ——シーズン18が500話ぐらいあるリフォーム番組とか—」
フランスの問題作家ウエルベック2019年の長編。中年男性の絶望を描く。
「口の悪い男に傷つけられたい気分の夜に。」
「人間心理の襞に分け入る文章に驚いた」
ケン・リュウによる短篇集。世界三大SF賞を制覇した名作。
「ケン・リュウさんの『紙の動物園』も最近読みましたね。」
一つの部屋の片隅を、35億年前から22175年まで多重時間軸で描く実験的グラフィックノベル。アングレーム国際漫画祭グランプリ受賞作。
「今あなたが立つその場所こそ奇跡だと教えてくれる。」
ジュール・ヴェルヌの古典冒険小説。日本では『十五少年漂流記』のタイトルで知られる。船から漂流した15人の少年たちが無人島で2年間サバイバルする物語。
「2年間の休暇ですね。日本だと十五少年漂流記の方が多分有名なタイトルですけども。漂流してとある島について15人の少年たちがどうにかこうにか生き延びて帰るまでの話ですね。人種が違う方も混ざっててその方を巡る問題とかもすごく心に残ってて。多分僕が小学校の頃、林という名前で台湾人だったからなのか、そういう異物が混ざりながら喧嘩して分かり合うっていうのに対して羨ましいと思ったのかな。」
サン=テグジュペリの世界的名作。徳間書店版・河野万里子訳。
「(東京松井玲奈書店・10冊選書)」
ハインラインの軍事SF(1959年原著)。機動戦士ガンダム『パワードスーツ』の元ネタ。道徳哲学の授業を通じて『暴力と決着』を問う問題作。
「ハインライン作の軍事SF。物語の最初の部分に主人公がもうすぐ高校卒業する、その中で『道徳哲学』の時間というのがある——これは『宇宙の戦士』以来の造語。最後の授業で学生たちが自由に質問する中、ある女性徒から『暴力は何も解決しないと母から言われましたって』と言われる。これに対して道徳哲学のデュボワ先生(元軍人)は『暴力は歴史上最も多くのことに決着をつけてきた』と語る。解決するとは言ってない、決着というのが暴力によって歴史上最も多くのことを決着つけてきた。これに反対するのは最悪の希望的観測に過ぎない、この事実から目を背けようとする民族種族はその命と自由という高い代償を支払わされる。 僕がこの小説を初めて読んだのが高校生ぐらいで、ちょうどその主人公と同じくらいの年齢だったんですけれどもすごいショックだった。暴力でしか解決しないとは言ってない、暴力によって歴史上だいたいのことは決着がついてきた、こ」
スティーヴン・キングによる『シャイニング』(1977年)の続編(2013年原著)。キング初の続編作品。映画化もされた中年期のダニエル・トランスの物語。
「シャイニングの続編。シャイニング、みんな読んでないでしょ。映画を見た人はすごく多いんだけど、原作読んだ人がほとんどいないんですよ。キャリーも同じ、スタンドバイミーも、グリーンマイルも、遠雷の空に——スティーヴン・キングって本当に才能で、こんなに映画で多いのに案外読まれてない。なんでこの人もっと読まれないのかな? キング小説には必ず『善と悪』という概念が出てくる。最後に必ず善は勝つけど、勝つときには代償を要求する——最も大事なものが犠牲になる、何かを失わなければいけない。これは日本人に不得意な概念。日本のホラーは呪怨もリングも善悪の戦いじゃなくて、貞子は『可哀想だから恨みの世界に閉じ込められた』、お岩さんも『そんな目にあったから』と同情する余地。日本では『神』はキリスト教の神じゃなくて『祟り神』。豊作も不作も、お稲荷さんも狐の妖怪も全部『神』として祀る。 キングはキリスト教的世界観で書く」
ラッセル・ブラッドンによるテニス小説。
「意外とテニスものの小説って少ないんだなと、この時に分かりました。当時刊行されていたテニス小説をいろいろ読みました。」
カフカが日記・手紙・ノートに残した「絶望」の言葉を集めたアンソロジー。「未来に向かって歩くことは僕にはできません。未来に向かってつまずくこと、これはできます。一番うまくできるのは倒れたままでいることです」など。
「私の絶望名人カフカを1冊ぶち込んでやる。カフカってもうなんかもう見るに耐えないぐらいずっと救いようがないっていうかそれを読んでると落ち着いてくるというか。私の曲の『彼と私の本棚』っていう曲の中にね、カフカ出てくるんですよ。あなたのまだ空っぽな私との思い出の中に、私の絶望名人カフカを1冊ぶち込んでやる。私のことあなたの心に焼きつけてやる。」
シェイクスピア4大悲劇のひとつ。野心と良心の葛藤を描く戯曲を、斉藤洋の現代訳で読みやすくした版。
「読み始めたらムチャクチャ面白い!場面展開のテンポもいい」
「ジョブズには色々なアイデアがあって、人生の指針となるような本を何冊か読んでいたに違いない。『肩をすくめるアトラス』もその一つで、若い頃言及していた。(原文: He had a lot of ideas. He must have read some books that really were his guide in life... Atlas Shrugged might have been one of them that he mentioned back then.)」
フランスの作家ピエール・ルメートルによるカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第2作。英国推理作家協会賞受賞、本屋大賞翻訳小説部門第1位、文春文庫版で60万部超の大逆転サスペンス。
「ここにルメートルいっぱいありますよ。これはもうこれが1番売れてます。僕これ結構好きなんですね。こんなん読んだらもう日本の作家、日本の読者は気になり、いやクオリティが高すぎてですね。」
フランツ・カフカによる1915年発表の中編小説。
「カフカの『変身』とかも読みました。」
「It's one of the most fascinating things that you've ever come across. (これまで出会ったものの中で、最も魅力的な作品の一つだ。)」
スティーヴン・ミルハウザーによる1972年発表のデビュー作。
「ミルハウザーは、柴田さんの訳やないけど、『エドウィン・マルハウス』が大好き。」
韓国の作家ハン・ガンによる中編小説。アジア人初の英国ブッカー国際賞受賞作。
「(東京松井玲奈書店・10冊選書)」
バーネットによる1888年発表の児童文学の古典。
「怪盗ルパンを薦めてくれていたのに、小学校で『小公女』や『若草物語』などの世界の名作シリーズを借りてきた時は、「ああ、そういういい本もあった、うんうん」
トマス・H・クックによる「記憶シリーズ」最新作。米国南部の濃密な記憶ミステリー。
「最近、トマス・H・クックを、ようやくシリーズ最新刊の『沼地の記憶』まで読みました。」
「海賊」を経済学的に分析した異色のノンフィクション。アダム・スミスの「見えざる手」をもじり、海賊社会も合理的経済主体だったという論を実証データで展開。
「今日はめちゃくちゃ面白い本5選②をプレゼンします。」
巨匠ハインラインの代表作(1966年原著)。21世紀、月の植民地が地球から独立するために戦う物語。リニア・カタパルトで地球に隕石を落とす——機動戦士ガンダムのコロニー落としの元ネタ。ヒューゴー賞受賞。
「僕の一押しは『月は無慈悲な夜の女王』というハインラインの小説。21世紀、2030年の世界で月が独立するって話。月が地球の圧力に耐えかねて『俺たち植民地が独立するぜ』と地球に戦争を仕掛けて、最終的にはリニア・カタパルトを使って地球に隕石を落とす。これ実は機動戦士ガンダムの元ネタなんですよ。富野さんはハインラインの小説を系統的に読んでいて、『宇宙の戦士』からパワードスーツって名前と概念を持ってきて、お話全体の大きい流れとして地球に対して植民地が独立してその時の最大の兵器は何かというと地球に物を落とすことになる——というのも元ネタにしてる。 Googleやアップルはなぜ生まれないのかというのに対して僕がいつも思ってるのは、いや日本の社長というのはSF読まないからですよ、と。日本においては成功する条件というのはありものの技術とありものをさっと組み合わせて勝てる仕組みを作って成功するという人が多い」
チリの作家ロベルト・ボラーニョ1998年の長編。20世紀後半文学の傑作。
「シニカルな男と世界の豊かさを堪能したい夜に。」
18歳のサガンが書いた、避暑地での親子のひと夏を描いた心理小説。
「私はこれを読んで文学ってすごいって思いました。生活してて、なんか言葉にできない感情っていっぱい出会うじゃないですか。そういうもやっとした、一言では表せない、これ言語化できないなっていう気持ちが全部言語化されてるんです。もやもやしてる人、世の中が嫌になってきた人に読んでほしい。本は逃げ場所だと思うんです、私。逃げていい場所だと思うんですよ。」
ノーベル文学賞に最も近いSF作家と言われたカート・ヴォネガットのデビュー長編(1959年原著)。爆笑問題・太田光が事務所名「タイタン」の由来として愛読書に挙げた、ハンディキャップ主義のディストピア。
「爆笑問題の太田光さんが自分の事務所『タイタン』って名前付けたのは世界で一番好きな本がこのタイタンの妖女ということ。火星人の侵略戦争の後、地球が平和になるって話。その平和になった地球で『徹底的に無関心な神の教会』というのが地球最大の宗教になる。神は存在するんだけれども『お前になんか興味がない』という宗教。神は偉大すぎて忙しすぎる、だから人類のことに興味を持ってる暇なんかない、自分のことは自分で神に救いを求めずに何とかしなさいという。 その教会のメリトクラシーがハンディキャップ主義。全ての人間にハンディキャップを与えて、あらゆる人を平等にしましょう、と。顔の美しい女は醜い仮面をかぶる。イケメンは目の見えない女性を妻に選ぶ。スタイルの良い女はサイズの合わないみっともない服を身に付ける。体力がある男は何十キロも重りを身につける。世界中の誰もが歴史上初めて完全に平等になった——果たしてこの社会は幸」
1977年原著。スタンリー・キューブリック監督で映画化された名作だが、原作は雪山のホテルで売れない作家の旦那が徐々に狂気に飲み込まれていく心理ホラー。ジャック・ニコルソンの配役にキングが激怒したことで有名。
「シャイニングというのはスティーヴン・キングの原作をスタンリー・キューブリックが映画化した。最初はキングが喜んだけど、キャスティングの段階からトラブル——『ジャック・ニコルソンを主役に選んじゃった、これあとに狂ってしまう役なのにジャック・ニコルソンは最初から狂ってるじゃないか』。次に嫁さんのウェンディ役も、原作はしっかりした人なのに映画用に選ばれたシェリー・デュヴァルがすごい神経質そうな顔してて『最初から夫が狂ったら叫びそう』と。 『プレイ・メイクス・ジャック・ア・ダル・ボーイ』——『働いてばっかりで遊ばないとジャックは今にも気が狂る』という1文を、奥さんがタイプライターを覗くと何百枚もこの文章だけがタイプされていた、という名シーン。後ろからジャックが『見たね』と現れる——ここでキングは怒った『ニコルソンだったらこんな初歩的なミスはしないぞ、人影が見えちゃったら来る来ると思ってる客にやっぱ」
ロバート・ネイサンによる1939年発表のファンタジー小説。時を超える愛の物語。
「『ライオンハート』はロバート・ネーサンの『ジェニーの肖像』のオマージュです。」
「思春期の少年が、自分の中にいる『もう一人の自分』と対話」
ノーベル文学賞作家イシグロが「クローン人間」を題材に描く近未来SF。
「」
ロレンス・ダレルによる1957年発表の長編連作小説『アレクサンドリア四重奏』の第一作。エジプトを舞台にした絢爛な現代文学の傑作。
「ロレンス・ダレルの『アレキサンドリアカルテット』がすごく好きでした。名訳で、文章と構成が素晴らしい。なめるように読んだ記憶があります。」
サン=テグジュペリの永遠の名作、河野万里子による新訳。
「あと星の王子様読みたいんです、今、星の王子様。なぜに星の王子様な(の)ですけど、好きな英語の本があって(『英語で読む星の王子さま』が併売)、ニュアンスが日本のと違っていて衝撃を受ける。」
サイモン・シンによる1997年発表のノンフィクション。フェルマーの最終定理の証明の歴史を追う。
「理系の世界に憧れがあるんです。『ホルモー六景』の凡ちゃんの話を書く時に読みました。『フェルマーの最終定理』は、解決の道のりが面白くて、自分の頭が良くなったように感じられるやさしい本です。」
村上春樹訳によるアメリカ文学の金字塔。又吉が『第2図書係補佐』で取り上げる海外古典の代表格。
「又吉が『第2図書係補佐』(幻冬舎よしもと文庫, 2011)で紹介した一冊。」
イギリスの児童文学者ロバート・ウェストールの戦争児童書。第二次大戦中の英国空軍爆撃機を舞台にしたホラー小説。宮崎駿が24ページのフルカラー漫画『航空ファンタジー博物館』を寄稿した稀有な一冊。
「宮崎駿が中に24ページもフルカラーの漫画を描いてるんですね。これだけでもお買い得なんですけど、この小説自体がめちゃくちゃカッコイイ。主人公は高校卒業したばかりのゲイリーという男の子で、英国空軍に入って5人組のチームでウェリントン爆撃機に乗せられる。 第二次大戦中のイギリスは『飽和爆撃』という方法をとっていた——1回の爆撃に100機・500機・最終的には1000機の編隊でドイツを爆撃。20回出撃で1セット組んで、なかなかその1セット終わらない、生き残る確率が44%、数セットいくと20%まで下がる暗い損耗率の高い時代。イギリスは10万人の若者を死なせて、ドイツに与えた損害は民間人含めて1万人いかなかった——本当に無駄な世界だった。 ブラッカム機長というアイルランド人のアル中で乱暴な機長が出てくるんだけど、その彼らがドイツのユンカース夜間戦闘機を撃墜するシーン——インターコムでドイツ人パイロ」
ダン・ブラウンによる2003年発表のミステリーの世界的ベストセラー。
「『ダ・ヴィンチ・コード』も読みましたよ。超ハリウッド的だけれど面白かったですね。」
「宮崎駿に大きな影響を与えた作品。ユング心理学の主題が織り込まれている」
「That's a big thing to go through. (大きな経験だよ、これを通過することは。)」
アメリカ短編小説の名手アーウィン・ショーの代表的短編集。表題作や「八〇ヤード独走」など、都会的でハードボイルドな短編を収録。
「アーウィン・ショーの『ビザンチウムの夜』。『ザ・ニューヨーカー』という文芸系の雑誌に都会的な小説を書いていた作家たちを"ニューヨーカー"と呼ぶんですが、その最たる人がアーウィン・ショー。『夏服を着た女たち』という短編集に収録されている「八〇ヤード独走」
アイラ・レヴィンによる1953年発表のミステリー。MWA最優秀新人賞受賞作の古典。
「外国の作品を読んでいなかったなと思って、編集者さんに薦められたトマス・H・クックの記憶シリーズやアイラ・レヴィンの『死の接吻』を読みました。この世界にこなかったら、誰も私に教えてくれなかった本なので、いい出合いだなと感じます。」
リリー・フランキーによる2005年発表の自伝的長編小説。2006年本屋大賞受賞作。
「あとはリリー・フランキーさんの『東京タワー』はもうやばかった! あまりによすぎて、読まんければよかったって思った、涙出過ぎて。今は、アーヴィングを読み直しています。」
コリイ・ドクトロウによる近未来SF(2003年原著)。貨幣経済が消失し「Whuffie(ウフィ)」という評価値で動く社会で、フロリダのディズニーランドを巡るドラマが展開する。
「Twitterのミックスでネタにされてるのを知ってる人も多いと思うけど、これぞ評価経済社会というのはどういうものか分かるSF小説。Whuffie(ウフィ)という概念が出てくる。貨幣経済というのはもうほとんど廃れてしまって評価経済のみで成立している世界。ディズニーランドのHaunted Mansionに住んでいる、住みながらそこを運営しているこういう人達の話。彼らはお金を得ているのではなくて評価を得ている、その評価がWhuffie値。 相手のWhuffieを見るときに、何かスマートフォンみたいなものを見るんじゃない。相手の顔を見て目線を失礼でない程度にちょっと上に上げる回転——相手のWhuffieを見るというのは相手の財布を覗くとか腕時計をジロジロ見てどれくらい金持ちか確かめるようにこの世界で失礼な行為。相手の評価値がどれぐらいかをちょっと目線を上に上げて確認した、という書き方。この抑えた」
ロアルド・ダールによる1964年発表の児童文学。チャーリーとチョコレート工場の冒険。
「ものすごく覚えているのはロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』。親に買ってもらったのですが、そこではじめて寝食を忘れて本にのめりこむ、という体験をしました。あと、それまでは絵を描いた人の名前は分かっても、作者の名前に関しては「誰なんだろう、この人は」
「『白痴』は恋愛小説の最高傑作という人もいますが。」
クリスティーが「メアリ・ウェストマコット」名義で発表した、ミステリではない6作のうちの一作。砂漠で足止めされた英国主婦が、自分の人生を見つめ直していく心理小説。
「アガサ・クリスティーの『春にして君を離れ』っていう小説があってですね、もうこれがそれこそ仕掛けが見事なんですよ。特に『春にして君を離れ』はギャッてなるし、ギャッて今からなんか記憶を消してもう1回ギャッてなりたいっていう感じの小説でもありますね。主婦の話でちょっとなんか旅しながら色々思い出すみたいな話なんですよね。」
コリン・デクスターによる1975年発表のモース警部シリーズ第1作。
「あと外国作品はあまり読まなかったんですが、『ウッドストック行最終バス』のコリン・デクスターや『偽のデュー警部』のピーター・ラヴゼイは好きで、過去の作品も遡って読んでいました。」
ジョン・アーヴィングのデビュー作。1968年発表。
「『ホテル・ニューハンプシャー』や『ガープの世界』、『熊を放つ』など次々、読みました。家族ものが好きなのはその影響もあるかもしれません。」
1951年刊行のJ.D.サリンジャーの代表作。クリスマス前のニューヨークを彷徨う16歳のホールデン・コールフィールドの3日間。世界6000万部突破。村上春樹による2003年新訳。
「もう僕はキャッチャー・イン・ザ・ライだっていうのはもう、もはや決め。人生を変えたってこれを入れないと嘘つきになっちゃう。ホールデン・コールフィールドっていう主人公がひねくれてるんですけど、相場ピュアなんですよね。ピュアゆえのひねくれ方で人生がすごく生きづらいんだけど、その中でいろんな思いを見つけていく。本当の俺、俺じゃんって、なんで俺のことこんなわかるんだろうと思って。本通してなんか繋がって一人じゃないよって言われたような気がして、救われてちょっと楽になるっていう体験を読書で初めてしたんですよね。」
アガサ・クリスティのミス・マープル初登場短編集(1932年)。『火曜クラブ』として知られる13編の安楽椅子探偵物語。
「クリスティコーナーがあ、まこの辺はもう名作なんで。みんなポアロは知ってると思うんですけど、これマープルね。マープルなんですか?マープルの方が重かったりするんですよ。ポアロが一番出てますけど、ミス・マープルは外れがないので、どんなこと言ってもそっちから入った方が、ポアロとやっぱなんか違う部分があるんで、まあ筋は一緒なんですけどクオリティは高い。」
ヴィクトール・E・フランクルによる1946年発表のアウシュビッツ体験記。
「フランクルの『夜と霧』を読んで、ユダヤ問題を調べたくなって。そこからずい分いろいろ読みました。今でもそうなんですが、ひとつのテーマに興味を持つと、ずっとそのことばかり追いかけるんです。」
ローレンス・ブロックによるケラー・シリーズ第1作。プロの殺し屋ケラーの哀感を描く。
「ローレンス・ブロックの『殺しのリスト』は以前買っていて今年読んだんですが、一生、ずっとこれを読んでいたいって思ったくらい。」
T.R.ピアソンによる長編小説。柴田元幸訳。
「それからT・R・ピアソンの『甘美なる来世へ』を読んで、これもずっと読んでいたいくらいに面白かったんですが、読んだ後で、久々に後どれくらい生きられるだろうか、と考えてしまいました。というのも、翻訳が柴田元幸さんで、巻末にもこれからもピアソンの作品を何冊か訳していく、と書かれているんですが、柴田さんって、他にもたくさん仕事をかかえている方でしょう。全部読むまでは死にたくないけれど、それにはどれくらいかかるんだろうと考えてしまいました。」
近未来のキリスト教原理主義国家「ギレアデ共和国」で、生殖能力を持つ「侍女」として強制的に役割を与えられた女性の手記。フェミニズムSFの古典。
「マーガレット・アトウッドの『侍女の物語』は私めちゃくちゃ好きなんですけど、なんか事あるごとに読み返したくなる。なぜならニュース見ると読み返したくなるというか、なんかSFなんだけどあんまりこうディストピアなんだけどのSF小説なんですけど結構現実でも関係ある感じのニュースとか出てくるたびに、は、『侍女の物語』で書いてたやつやってなったりするのでそういう意味だと結構読み直したりするしたくなったりする。」
トニ・モリスンによる1970年デビュー作。1993年ノーベル文学賞受賞作家による黒人少女の物語。
「高校2年生の時だったと思うんですけど、装丁に惹かれて『青い眼がほしい』を買ったんです。文学少女やないし、まったく知らなかったんですけど、たまたま本屋に『ムー』でも買いに行って、目にとまって手に取ったんでしょうね。でも読んでみたらすっごい衝撃でした。冒頭が「秘密にしていたことだけれど」
「戦争下でしたたかに生きる双子の少年の物語」
ヴィクトリア朝の館に突如現れた奇妙な生き物。柴田元幸訳による短歌形式の名訳。
「」
ジョン・レノン「Imagine」の着想源にもなった、オノ・ヨーコによるパフォーマンス・インストラクションの集成。
「この本を燃やしなさい。ときに些細な、ときに雄大な行動を誘発して意味と無意味の淡いを探るパフォーマンスブック。」
ジュノ・ディアズによるドミニカ系アメリカ人の生活を描いた短編集。新潮クレスト・ブックス。
「装丁重視なので、新潮クレストブックスは結構読みましたね。ジュノ・ディアズの『ハイウェイとゴミ溜め』とか。」
トニ・モリスンによる1973年発表の長編。アメリカ南部の黒人女性の友情を描く。
「早川書房のトニ・モリスン・コレクションを集めて読みました。『スーラ』とか他のも読んだし、全部好きやけれど、でも『青い眼がほしい』は衝撃度で言うと一番。」
ポール・オースターによる1989年発表の長編小説。柴田元幸訳。
「それも分かって読んだんじゃなくて、気づいたらアメリカ文学が多かったんです。ジョン・アーヴィングとかスティーヴィン・ミルハウザーとか。オースターは『ムーン・パレス』。あの人の訳はすごい(柴田元幸さん)。」
サリンジャーによる1951年発表のアメリカ青春文学の金字塔。
「ご多分に漏れず、『ライ麦畑でつかまえて』や『アルジャーノンに花束を』には泣きましたね。」
ブラジルの作家パウロ・コエーリョの世界的ベストセラー。羊飼いの少年サンチャゴが宝を求めて旅する寓話。
「(東京宇賀なつみ書店・10冊選書)」
デフォーによる1719年発表の海洋冒険小説の古典。
「もともと母の課題図書の2冊目が『ロビンソン漂流記』だったし、テレビアニメの「南の島のフローネ」
ファーブルによる昆虫の生態を綴った児童向け科学読み物の古典。
「ちゃんと読んだのは、小学校1年生の時の『ファーブル昆虫記』です。エジプトの日本人学校に六畳くらいの図書室があって。安達さんという子と仲良しになって、安達さんが『シートン動物記』を読み出したので、じゃあわしは『ファーブル昆虫記』読むわ、て言うて、二人でずっと競って読んでいました。フン転がしの生態を調べるために1週間ずっとその場に寝泊まりして見とったとか、そんなんでしょう。わしの中ではファーブルもムツゴロウも同じレベルだったんですよね(笑)。」
「The classic one I always give is Lord of the Rings.(いつも挙げる古典的な一冊が『指輪物語』だ。)」
ケストナーによる1933年発表の児童文学の古典。寄宿学校を舞台にした友情物語。
「ケストナーは岩波から出ている子供向けの全集を全部読みました。『飛ぶ教室』がすごく好きだったのを覚えています。」
スティーヴン・キングによる1986年発表の大長編ホラー。1989年「ファイアスターター」と並んで恩田陸お気に入りの作品。
「その頃スティーヴン・キングの文庫が出てきて、追いかけて読みました。『ファイアスターター』『クージョ』『キャリー』『デッド・ゾーン』『クリスティーン』…。キングは『ファイアスターター』と『IT』が好きですね。ラストが未来のある、明るい終わり方なので。」
E.W.ヒルディックによる児童向けミステリー「マガーク少年探偵団」シリーズ。
「『マガーク探偵団』というシリーズがあって、それも好きでした。僕は自分の本のカバーの見返しを自分で書いているんですが、あれって『マガーク探偵団』の背表紙のマンガからきているんです。「ボンボコ マガーク探偵団♪ ペンぺコ仲良し五人組 ブンチャチャ難問即解決」
ダニエル・キイスによる1966年発表のSF小説の傑作。
「ご多分に漏れず、『ライ麦畑でつかまえて』や『アルジャーノンに花束を』には泣きましたね。」
ジャック・フィニイによる1955年発表のSFサスペンス。
「尊敬する先行作品には毎回触れるようにはしています。『月の裏側』はジャック・フィニイの『盗まれた街』、『ライオンハート』はロバート・ネーサンの『ジェニーの肖像』、『光の帝国』はゼナ・ヘンダーソンの「ピープル」
ジョン・アーヴィングによる1978年発表の代表作。
「すごい新人見つけちゃった、くらいの勢いで『ホテル・ニューハンプシャー』や『ガープの世界』、『熊を放つ』など次々、読みました。家族ものが好きなのはその影響もあるかもしれません。」
ルース・レンデルによる1977年発表のサスペンス長編。
「覚えているのは、ルース・レンデルの『ロウフィールド館の惨劇』。クラーイ話で、動機がすごく話題になった本でした。」
原題『The Body』、1982年原著。キング『恐怖の四季』所収の中編。ロブ・ライナー監督で1986年に映画化された名作青春映画の原作。少年時代の友情と『大人になること』の喪失を描く。
「ロブ・ライナー監督の青春映画の傑作。1959年(ロブ・ライナーが12歳だった年)、少年4人が見知らぬ少年の死体を探しに冒険する話。冒頭で監督ロブ・ライナーは原作者キングに『主人公ゴーディはどれだけ本当の話をしてるんですか?』と質問、キングは『俺自身も自分の経験と人に話す時に面白く盛っちゃうことの境がわからなくなる、作家っていうのは生まれつきの嘘つきで自分の言った嘘を信じ込むし、嘘の中に本当を混ぜるから余計わかんなくなる』と答えた。 映画では『叙述トリック』が使われる——途中から美化された嘘が混ざる。ヒントは(1) ラストで友達クリスが消えていくシーンで、不思議に半透明になって完全に消えてしまう、(2) ボブ・コミアという作中の人気者の名前が、映画冒頭の解像シーンの自動車のラジオから聞こえる、これをゴーディが咄嗟に話に取り込んでリアリティを上げる、つまり彼は『嘘の話の中に本当のことを混ぜる」
オルコットによる1868年発表の児童文学の古典。マーチ家四姉妹の物語。
「小学校で『小公女』や『若草物語』などの世界の名作シリーズを借りてきた時は、「ああ、そういういい本もあった、うんうん」
スティーヴン・キングのデビュー作(1974年原著)。10年間売れない教師時代に書き上げた自信作。ブライアン・デ・パルマ監督で映画化。母親の狂信的キリスト教信仰の中で生きた女子高生の超能力と惨劇。
「スティーブン・キングのキャリーって、僕らが見るときには『超能力を持った女の子がいじめられっ子で最後に皆殺しにする話』だと思ってる。ブライアン・デ・パルマ版もそうですね。でもキング版のキャリーはもっと青春ストーリー。お母さんがカルト的なキリスト教信者で『お前は男の汚れた血で生まれてきた』と教えていて、生理が遅れて学校でみんなにタンポンを投げつけられていじめられるシーンから始まる。 キングがすごいのは、キャリーといじめてる子の両方に感情移入する。いじめてるグループも内部で『あんなにいじめていいの?』『やりすぎたんじゃない?』と分裂してくる。やりすぎたと思った女の子が『私はキャリーの友達になりたいけど、もうなれない』と思って、自分のボーイフレンドに『キャリーをプロムに誘ってあげて』と頼む。男の子は最初義務感で、ところが誘ってみるとキャリーが綺麗に見えてくる——その様子はキャリーの母親にとっては」
アシモフの代表作『ファウンデーション』シリーズ第1巻(1951年原著)。銀河帝国1万2000年の歴史と『心理歴史学』を扱う未来史の金字塔。Apple TV+でドラマ化。ノーベル経済学賞ポール・クルーグマンの愛読書。
「中学生ぐらいの時に読んだ。はるか未来、人類は銀河系を1つの帝国にまとめあげた。銀河系には人類以外に知的生命体がいなかった。人類は2500万個以上の惑星に植民し、総人口は100京(10の18乗)を超えた。 首都惑星トランターは惑星1つが丸々官僚機構——惑星1つが丸々事務作業ビル、その中に官僚400億人が住んでいる。皇居は1000km×1000kmのちっぽけなもの。トランターは食料も何もかも他の惑星から輸入しなければ活動できない。 この銀河帝国1万2000年の絶頂期に、ハリ・セルダンという学者が『銀河帝国は500年以内に滅ぶ』と数学的に証明した——『心理歴史学』という新しい学問を作って。一旦帝国が滅ぶと、原子力文明→石油文明→石炭文明と無限に交代して、次の文明が起こるまで3万年かかる。この3万年の空白を1000年に縮めるためにセルダンは『百科事典財団(ファウンデーション)』を作る。 ノー」
1981年原著。狂犬病になった犬と、車中に閉じ込められた母子のサバイバルを描くホラー。冒頭の自動車修理工場のおっさんの『職人哲学』が圧巻。
「クージョって話は、狂犬になった犬が襲ってきて車に閉じ込められた人の話なんだけど、その狂犬を勝ってたおっさんの話が出てくる。自動車修理工場を自分で経営してるおっさん、すごい職人気質の人。彼が言うには——『自分のものになるってのは、どれぐらい自分が直したか、手を加えたかだ』。彼は車の修理をやってるからベンツやポルシェやランボルギーニをいっぱい見るけど、『そういう車を持ってる奴はいるけど、彼らは持ってない、ただ買っただけだ』と。 『俺の車は中古のシルビアみたいな車、ポンティアックとか中古の車。でも俺が何回壊れようと何回も直した、エンジンも1回ばらして自分でちゃんと動くようにした。何度も付き合ったと。そうやって初めて車っていうのは自分のものになる。車っていうのは最初メーカーが作るもので、それを買って乗ってるだけだったらそれはメーカーの車であって自分の車じゃない。ずっと直してばらして車っていうもの」
スティーヴン・キングによる1980年発表の超能力サスペンス。
「キングは『ファイアスターター』と『IT』が好きですね。ラストが未来のある、明るい終わり方なので。」
ニーヴン&パーネルによるハードSFの古典(1974年原著)。人類が銀河に広がる中、未知の異星人と初めて出会う「ファースト・コンタクト」もの。
「9月に新版が出る、1760円。ファーストコンタクトの傑作と呼ばれてるニーヴン&パーネル『神の目の小さな塵』。地球人と異星人が初めて出会う『ファースト・コンタクトもの』というジャンルで、最初期の作品はマレイ・ラインスター『最初の接触』(1945年)、続いてフレッド・ホイル『暗黒星雲』(1957年)、そしてスタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(1961年)が究極のファーストコンタクトを書いてしまった——惑星全体を覆う海が知性を持つ話で、お互いに理解できないことに意味があるのか?まで踏み込んだので、以降ハードSFはファーストコンタクトを書きにくくなった。 日本のアニメは結構ちゃんとファーストコンタクト扱ってる。1980年『伝説巨神イデオン』では地球人とバッフ・クラン星人が遭遇——地球人がバッフ・クランを『第七文明人』と呼ぶ、それまでの6つの文明はイデの世界の中で全部滅びた文明。1982年」
スウィフトによる1726年発表の風刺小説の古典。
「ドミトリーには、これまで来た人たちが置いていった本もあったんですが、みんなのベスト本ですから、外れがなかったですね。」
アメリカSF界の巨匠ハインラインによる1957年発表のタイムトラベル小説。日本でも長年愛され続ける名作。
「タイムスリップものですぐに思い出すのは、ハインラインの『夏への扉』ですね。でも、僕としては『トキオ』を自分なりの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にしたかったんですよ。」
ゲーテによる1774年発表の書簡体小説の古典。
「『罪と罰』の後に読んだゲーテの『若きウェルテルの悩み』も好きでした。」
アガサ・クリスティによる1929年発表のミステリー。「チムニーズ館の秘密」の続編。
「クリスティでは『七つの時計』ではじめてドンデン返しに驚いたのを覚えています。とにかく、ミステリ系はすごく好きでした。」
ゼナ・ヘンダースンによる「ピープル」シリーズ。地球に流れ着いた異星人「ピープル」たちの物語。
「『光の帝国』はゼナ・ヘンダーソンの「ピープル」
「偶然と必然。すべてはつながっている」
イギリスの海軍士官ホーンブロワーの活躍を描いた海洋冒険小説シリーズの第3巻(ハヤカワ文庫NV)。
「セシル・スコット・フォレスターの「ホーンブロワー」
アシモフによる1966年の同名映画ノベライズSF。
「テレビで『ミクロの決死圏』をやっていたので、アイザック・アシモフの原作を読んだのが、はじめてのSF作品。」
マイケル・ボンドによる1958年発表のクマのパディントンシリーズの第1作。
「小学校で週に一度、読書の時間があったので、図書室で『くまのパディントン』を読んだ気がする。外国の本って、わしらの知らん食べ物が出てくるでしょ。なんてことないけど、めっちゃ美味しそうなやつ。そういうのが好きやったんです。」
マーシャ・ブラウンによる1957年発表の絵本。瀬田貞二による日本語版。
「幼稚園では…横に細長い絵本が家にいっぱいあって、それが好きだったことを覚えています。覚えているのは『はじめてのおつかい』、『しょうぼうじどうしゃじぷた』…『ぐりとぐら』…『ねないこだれだ』『三びきのやぎのがらがらどん』。」
リンドグレーンによる1945年発表のスウェーデン児童文学の古典。
「自分から自発的に繰り返し読んだのは、リンドグレーンの『長くつ下のピッピ』やケストナー。それらが最初にああ、本を読むって面白いんだなあと思ったきっかけ。」
トマス・ハーディによる1891年発表の長編小説。
「中学生でトマス・ハーディの『テス』なんかも読みましたが、何が起こったかわからなくて。昔の本だからぼやかして書いている部分も多いんです。もっと大人になってから、ああそういうことか、と理解しました。」
マーク・トウェインによる1876年発表の少年冒険小説。アメリカ南部ミシシッピ川沿いの町を舞台にしたトムとハックの活躍。
「『トム・ソーヤーの冒険』を買ってくれたんです。それも箱に入っていましたね。その時の自分より少し年齢が上の設定だったのでなかなか読めなかったんですが、4年か5年の時に読んだらすごくよかった。そんなつもりじゃなかったのにおばさんに誤解されて、トムが泣きながら歩いていく場面は子どもながらに「分かる分かる」
エラリー・クイーンによる1932年発表のミステリーの古典。国名シリーズの代表作。
「海外モノではエラリー・クイーンの『エジプト十字架の秘密』など。だから、みんなが読むようなものを読む、という感じで、特に読書好きというわけではなかったんですよ。」
エラリー・クイーンによる1932年発表のミステリーの古典。ドルリー・レーン四部作の第二作。
「サークルの友達がエラリイ・クイーンを持っていたので『Yの悲劇』あたりを借りたりもしました。」
マリー・ホール・エッツによる絵本の名作。岩波書店刊。
「田舎の小さな本屋ですけれど、売るほど本はあるわけですから、私も子供の頃からむさぼるように読んでいました。『海のおばけオーリー』など、岩波書店の子供向けのものが多かったですね。」
「10代の自分の心に響くものがあり、すごく好きになりました。社会不適応な人間にとってボードレールは、『憧れ』ですね。」
ヘルマン・ヘッセによる1919年発表の自伝的小説。
「背伸びをしようとして、母の本棚にあったヘッセの『デミアン』なんかをこれ見よがしに教室だけで読んでいたような...。「私、文学少女なのよ」
『朗読者』のシュリンクによる新たな恋愛小説。古希を迎えた主人公が40年前の出会いを回顧する、人間の再生の物語。
「これは、名作『朗読者』の作家による新たな至高の恋愛小説であり、人間の再生の物語だ。…古稀を迎えた僕の心に、この物語は深く沁み込んだ。40年前、僕は一体何をしていたのだろう。そして、その後、どうやって過ごしてきたのだろう。訳文もこなれていて、とても品があり読みやすい。」
地球破壊の直前に救出された平凡な男アーサー・デントが、ヒッチハイクで銀河を旅する英国SFコメディの金字塔。「人生・宇宙・すべての答え」は42。
「『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読んだ。これは結構ポジティブな本で、とても重要なことを教えてくれた——多くの場合、問いの方が答えより難しいということだ。問いを正しく立てることができれば、答えを出すのは簡単な作業になる。」
古代ギリシアの叙事詩人ホメロスによる、トロイア戦争を描く西洋文学最古の叙事詩。アキレウスの怒りと運命を中心に、英雄たちの闘いと神々の介入を歌い上げる。
「オーディオブックのおすすめ:…『イリアス』(ペンギン版)…」
ハインラインの代表作(1957年原著)。コールドスリープと時間旅行を扱った長編SF。日本ではタイトルの詩情から熱狂的に愛され、少女漫画家のレジェンドたちもオールタイムベストに挙げる『幻の名作』。
「10年ぐらい絶版状態で、古本屋さんで探したら買えるけど読めないという状態が続いた。少女漫画家のレジェンドたちが『夏への扉』をすごい褒めて、岩館真理子先生は『私が一番好きなのはオールタイムで夏への扉』。これが『幻の名作』と呼ばれる理由。 第1章冒頭『6週間戦争の始まる少し前、僕と猫のピートはコネチカット州の古ぼけた農家に住んでいた』——『6週間戦争』というキーワードだけで核戦争を連想させる。続いて『マンハッタンの被爆地帯の端にあった古い農家』、たった3行でマンハッタンが核攻撃で消えたのが分かる。SFの読み方は、作者が説明せずキーワードを並べて読者に推理させる『共犯関係』。 古い農家には扉が11個あって、猫のピートは雪を見ると『この扉は冬につながってる』と次の扉、また次の扉と、人間用の11個の扉を順番に試させる。『夏への扉を探すのは決して諦めない』——本作のテーマ。 第1章はネコ好きおじ」
スティーヴン・キングの隠れた名作(1975年原著『Salem's Lot』)。メイン州の小さな町セーラムズ・ロットを襲う吸血鬼の恐怖を描く。トワイライトなどの吸血鬼ものとゾンビ作品の原点。
「スティーブン・キングの隠れた名作。実はスティーブン・キングの一番怖い話はこの『呪われた街』だと思う。集英社文庫で上下巻で繋がっていて、お墓が表紙になってる。メイン州の小さな町セーラムズ・ロットが舞台、主人公は小説家のベン・ミアーズ。 おでこに白い斑点がある犬が殺されて墓地のフェンスに吊るされる——西洋の伝承で『第三の目』、魔を退ける犬。それが殺された。バーロー商会というアンティーク家具の店が町の真ん中の元洗濯屋を1ドルで買う条件——絶対誰にも言わない・1ドル以上払えない・全て不動産屋で行う、見返りに150-200万ドルの土地。何ヶ月かしてヨーロッパから巨大な荷物が地下室に運ばれる、運んでいる二人組が冗談も言えなくなって理由のない恐怖に襲われる。 グリック兄弟が森で行方不明、弟は見つからず、兄ダニーは病院で『顔色が良くなった』と思った瞬間に死んでいる。カソリックの葬式シーンが本当にホラー」
ムーミンシリーズで唯一の自伝形式。孤児だったムーミンパパがスナフキンやスニフの父と出会う青春大冒険を回想する。
「ムーミンパパの思い出はムーミンシリーズの中でも特殊な位置づけ。ムーミントロールたちの割とほのぼのとした話ではなくて、孤児だったムーミンパパが自分の中である大冒険を語る話。当時はターンに見て覚えたんですけど、孤児院の中で『あなたは誰でもない、ただの一人の子供よ』と言われて、自分は特別なはず、特別のはずだと思い込んで、優しかったムーミンパパが自分が特別であることを証明したくて孤児院を家出して、後にスナフキンやスニフのお父さんになる人たちと出会って冒険が始まるという青春大冒険もの。すごい好き、小学校5年の時に買ってもらいました。」
斎藤 幸平が公的に推薦コメントとして発表した本。
「当時読んだ本で最近私が薦めているのが、アーシュラ・K・ル=グィンの『所有せざる人々』(ハヤカワ文庫)。ある種の脱成長社会を描いたユートピア小説です。」
鈴木 敏夫が公的に推薦コメントとして発表した本。
「ジブリの最新作は、監督以下、ヨーロッパのスタッフを起用して作った。池澤夏樹さんに映画を見て貰うと、思惑通りに感心しきり。すかさず、映画の解説と絵本の構成と文章を書き上げていただいた。」
鈴木 敏夫が公的に推薦コメントとして発表した本。
「恋愛小説というと、とかく甘くなりがち。だが、池澤さんのそれは一味違う。男女それぞれがどういう生き方を選択するのか?そのせめぎあいが現代における恋愛小説だと納得した。」
「Tom Hanks reading list (Independent経由)」
ジキルとハイドの娘メアリらが結成する〈アテナ・クラブ〉が、誘拐されたシャーロック・ホームズを救うべくモリアーティ教授の陰謀に挑むヴィクトリア朝アドベンチャー。
「『メアリ・ジキル』はすごい面白くて大好きでした。ジキルとハイドの娘が主人公で、いろんなモンスター娘たち(ヴァン・ヘルシングの娘、毒娘、猫娘、ラパチーニの娘、フランケンシュタインの花嫁など)が手を合わせて、時々ホームズも出てきて、ヴィクトリア時代を駆け巡って互いを助け合うっていうのがめっちゃ面白かった。」